スポンサードリンク

2016年08月07日

Kindle版 コンビニに二十万円をだまし取られた件について 女子大消費生活センターの事件簿2






コンビニに二十万円をだまし取られた件について 女子大消費生活センターの事件簿2 (消費生活センターの事件簿ノベルズ)



 コンビニ払いを指示する架空請求が多発中!あなたも騙されないように気を付けよう!
 国民生活センター、消費生活センターに寄せられる最新の事案、判例を元にした消費者トラブルエンターテインメント。

 房総女子大学消費生活センターは、学生ボランティアによって運営されており、司法試験予備試験に合格済みの俊才――部長の神前愛佳、女子大空手全国大会で優勝した経験のある武闘派――白砂菜月、実家が超大金持ちのおっとりお嬢様――芽森琴音、小学生と間違われることもある童顔の一年生――七緒絵美里ら、癖のある女子大生消費生活相談員とやる気のない二十四歳の顧問弁護士村正翔太がいる。

 房総女子大学消費生活センターに三つの相談案件が持ち込まれる。
 一つは、アダルトサイトの利用料金をコンビニ払いで払うよう指示する架空請求の案件。男子学生が二十万円もの大金を騙し取られてしまったのだ。
 二つ目は、三万円の価値しかないアンティークコインを二十万円で女子学生に売りつけるマルチ商法が男子学生の間で流行っているという相談。デート商法の手口で女子学生を勧誘しており、極めて悪質だった。
 三つ目は、女子学生の銀行口座が、理由もなく、突然凍結されてしまったという相談。

 三つの相談案件は、無関係だと思われたが、絵美里らが、調べを進めるうちに、すべてが密接に関連するらしいと分かり……。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大滝 七夕
法学部在学中に行政書士、宅建等の資格を取得し、卒業後は、行政書士事務所、法律事務所等に勤務する傍ら、法律雑誌の記事や小説を執筆し、作家デビュー。法律知識と実務経験をもとにしたリーガルサスペンスを中心に、ファンタジーや武侠小説などを執筆している。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(冒頭部抜粋)

 コンビニに二十万円をだまし取られた件について
              女子大消費生活センターの事件簿2

                               大滝七夕

 1、コンビニ払いを指示する架空請求

 房総女子大学消費生活センターは、キャンパス内の学食の隣にあり、部屋の後背が全面ガラス張りになっていて開放的な空間になっていた。
 ガラスの向こうには花の散った桜が林立し、隙間からは心地よい木漏れ日が注いでいた。
 その木漏れの恩恵を、最も受けているのは、ガラスの傍らに椅子を三つ並べて、寝そべっているだらしのない背広姿の若者である。
 ショートカットの髪型になかなか端正な顔立ちをしており、イケメンと呼ばれる範疇に属しているが、だらしなく口を開けた寝姿と、アイロンのかかっていないシャツにくたびれたスーツのせいで、魅力が大幅に減退している。左衿の金ぴかの弁護士バッチまでもが輝きが失われているように見えてしまう。
 もう一人、木漏れ日の恩恵を受けている女子学生がいた。
 ガラスにぴったりと寄り添うようにして一人用のテーブルセットを置き、超ミニスカートで足を組んで椅子に腰かけて、ファッション雑誌を眺めているやたらとセクシーな女子である。
 うりざね顔で切れ長の眼差しに、ロングの黒髪をポニーテールに束ねた様は若武者の様である。おまけに高身長と来ているので、一見するとイケメンの男のようにも見えるが、露出度の高い服から覗くボリュームのある胸とくっきりとしたくびれを見れば間違えることはないだろう。
 部屋の中央に置かれたテーブルには、三人の女子学生相談員が、カップルの相談者と向かい合っていた。
 その日の昼休みに、相談に訪れたのは、房総女子大学社会学部の女子学生と上総大学理工学部の男子学生だった。二人とも二年生で二十歳だという。
 上総大学は、房総女子大学のすぐ隣にキャンパスがある共学の国立大学で主に理系学科が設けられている。女子学生は少ないため、彼女を探している男子学生の足は自ずと房総女子大学に向く。両大学の学生同士がカップルになることは珍しくなかった。
「達夫君がね、お金を貸してほしいというから、どうしたのって聞くとやばい状態だって。一体、何にお金を使ったのと聞くといろいろ支払いをしなきゃいけないって」
 真島結衣と名乗った女子学生が頬を膨らませながら、隣でうつむき加減にしている男子学生を突いた。
 結衣は、サラサラのロングヘアをなびかせ、男好きのする顔立ちをしていた。胸や腰回りに程よい膨らみがあり、男子学生の興味をそそりそうな体つきをしている。
 男子学生と交流していれば自然と声をかけられるだろうし、ボーイフレンドには困らないだろうと思われた。
 一方の達夫君と呼ばれた男子学生――平河達夫は、女子の興味を引きそうもない冴えない容貌だった。
 髪の毛はぼさぼさだし、額縁眼鏡のレンズの奥に覗くトロンとした垂れ目はどことなく弱弱しさが漂う。唯一の特長は背が高いことだけだろう。やたらと白い面長の顔で痩せた体つきをしており、洞窟の中でひょろひょろに育ったウドを連想させた。
「ほら。何に使ったのか言いなさいよ」
 結衣に突かれた達夫がおずおずと頭を上げた。
「つまりは、その……、コンビニで支払をしたからで……」
「コンビニの端末で何かの代金を支払ったんでしょ。二十万円も。一体、何の代金なの?」
 結衣の言葉に、大きなテーブルを挟んで向かい側の中央に、この部屋の主のように座っているリクルートスーツ姿の女子学生が片眉をピクリと上げた。
スポンサードリンク